界壁の目的は、耐火性能・遮音性能
今回は、界壁(かいへき)の耐火性能、遮音性能を満たすための仕様と施工のポイントについてご説明いたします。
界壁は、共同住宅において、各住戸を仕切る壁のことで、この間仕切り壁は、基礎から小屋裏(屋根)まで隙間なく施工されるため、隣戸からの火災や騒音を容易に侵入させません。隣戸で発生した火災を一定時間、室内に閉じ込め、延焼防止と避難時間の確保を目的とするもので、人命を守るために必要不可欠なものです。さらに、火を容易に通さない壁は、音も通しにくいので、臨戸の生活音を遮音するうえで重要な構造体となっています。
界壁とは、共同住宅において、各住戸の間を区切る壁のことをいいます。建築基準法で耐火性能や遮音性能が求められ、小屋裏又は天井裏に達するように設けなければなりません。
※建築基準法改正(2019年6月25日施行)により、「防火性能を強化した天井」と「遮音性能を確保した天井」を設ける場合には界壁は小屋裏又は天井裏に達する必要がなくなりました。いずれにせよ、「耐火性能」「遮音性能」の2つは必須条件です。
ビルトインガレージは、さらに防耐火性能を向上
GarageHouse(賃貸ガレージハウス)京都南の場合、1階のビルトインガレージに火災の原因となり得る自動車を保管するため、建築基準法で定める防耐火構造にする必要があり、界壁の仕様についても慎重に検討を重ねました。その結果、壁内をグラスウールで充填し、石膏ボード(プラスターボード、1.2㎝)及び外壁用の窯業系サイディング(耐火等級4(最高等級)、1.6㎝)を二重で両面に貼る仕様となりました。また、天井部分は、パルプ繊維混入セメント板(30分準耐火構造、1.2㎝)を貼り、防耐火性能にも配慮しました。
また、遮音性能を高めるため、界壁の外側と内側の間柱を千鳥(ちどり)で配置しています。各住戸の壁を共通の柱や梁に固定せず、それぞれの手前側の間柱に固定するので、音が直接伝播するのを防ぐことができ、遮音性能を向上させるものです。
界壁の仕様を確認する方法
そこで、界壁の耐火性能、遮音性能を満たすための仕様を確認するポイントは、以下のとおりです。建築確認申請の段階で界壁の仕様については厳しく審査されるので、どの物件も書類上は何ら問題ありません。ところが、施工品質の良し悪し以前に、設計とは異なる仕様で建設されるなど、基本ルールさえも守られていない事例がニュース報道されていましたので、施主である私も関心をもって、現場の施工状況を点検しました。
・界壁の厚さは、10㎝以上
・界壁内に厚さ2.5㎝以上のグラスウール(かさ比重0.02以上)又はロックウール(かさ比重が0.04以上)を隙間なく充填する
・界壁の両面に厚さ1.2㎝以上の石膏ボードを2重貼り
界壁の施工品質を確認する方法
界壁については、大手ハウスメーカーの施工不良がクローズアップされたので、ご存知の方も多いと思いますが、界壁が小屋裏や天井裏に達していない、認定外の材料を使用しているなど、基本ルールさえも守られていない事例が多数発生しています。
そのため、GarageHouse(賃貸ガレージハウス)京都南の施工品質を確認するため、以下の項目について、タイムリーに施工点検を実施してきたところ、適正な材料が使われ、施工方法も良好で、設計どおりの品質で仕上がっていることを確認しました。
・界壁は、隙間なく、小屋裏まで達しているか
・界壁の厚みは、10㎝以上あるか(仕上げ材を含めず)
・間柱の千鳥は、バランスよく配置され、確実に固定されているか
・界壁内に厚さ2.5㎝以上のグラスウールが隙間なく充填されているか
・居室内は、石膏ボード(プラスターボード)1.2㎝の2重貼りとなっているか
・ビルトインガレージ内は、石膏ボード1.2㎝に窯業サイディング1.6㎝の2重貼りとなっているか(※ サイディングは未施工のためサンプルを確認)
・居室内の石膏ボードは、1枚目と2枚目の貼り合わせ位置を上下、左右にずらして貼られているか
・屋根と界壁の隙間は、耐火材(耐火目地用シーラント)で埋められているか
なお、界壁は、以前ご紹介した減震ブレーキ装置、アンカーボルト・ホールダウンアンカーボルト、SE 金物・ホールダウンパイプ、筋交い・構造用合板、火打ち梁・剛床と同様に無事平穏な時は隠れた存在ですが、一転して災害発生時には、最大限にその性能を発揮してくれる構造体です。
GarageHouse は、防災に強い、安全、安心な住まいにするため、目に見えないところにまで、こだわった家づくりを目指してまいります。
<GarageHouse(賃貸ガレージハウス)は、奈良市、生駒市、木津川市、京田辺市、精華町にまたがる「関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)」エリアで展開する建物内に自動車が保管できるビルトインガレージのある賃貸住宅です。>