床組みの耐震性能を決定する火打ち梁と剛床工法

〔火打ち梁は、専用金物「ビスどめオメガ火打600」で施工〕

GarageHouse(賃貸ガレージハウス)京都南は、建物にかかる地震力、風圧力の水平荷重を耐力壁に伝える役割をもつ屋根や2階床を火打ち梁、剛床工法で構成する設計になっています。

建物全体の剛性を強化する鉛直構面と水平構面

筋交いや構造用合板で構成される耐力壁を鉛直構面といい、火打ち梁や剛床工法で構成される屋根や2階床を水平構面といいます。いずれも建物の耐震性能に欠かせない重要な構造部分で、これらの面が一体となって建物全体の剛性を強化します。

〔剛床は、厚さ24㎜の構造用合板(ロフトから2階床を撮影)で施工〕

鉛直構面である耐力壁の強さを表す指標が壁倍率(※)ですが、同様に水平構面の火打ち梁や剛床工法の強さを表す指標が床倍率です。床倍率は、建築基準法ではなく、2000年に施行された住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)によって規定された性能表示です。
※ 壁倍率の詳細は、「耐力壁の耐震性能を決定する筋交いと構造用合板」をご参照ください。

【床倍率】
床倍率とは、水平構面の火打ち梁や剛床工法の強さを表す指標です。
・耐力基準を満たす火打ち材を、平均して5㎡ごとに1本以上配置した床組(=㋐):倍率0.15倍
・㋐の床組等において、火打ち材を平均して3.3㎡ごとに1本以上配置したもの:倍率0.3倍
㋐の床組等において、火打ち材を平均して2.5㎡ごとに1本以上配置したもの:倍率0.5倍(※)
・構造用合板(厚さ24㎜以上)を川の字で梁等の横架材に対し、150㎜以下の間隔でN75釘で打ち付けた床組み:倍率1.2倍
構造用合板の四周を梁等の横架材等に対し、150㎜以下の間隔でN75釘で打ち付けた床組み:倍率3.0倍(※)
※ GarageHouse 京都南が採用

耐震等級の判定基準となる床倍率

この床倍率は、耐震等級の判定基準の一つとなります。国土交通省が指定する長期優良住宅の認定を受けるには、耐震等級2以上の性能が必要となり、建築基準法上の壁倍率をもとにした壁量計算に加え、床倍率をチェックして評価されます。

【耐震等級】
耐震等級は、建物の強さを表す指標として、品確法で新たに定められました。
・耐震等級1:建築基準法の耐震性能を満たす基準。阪神淡路大震災相当の地震(100年に1度発生する震度6強~7の地震)でも倒壊しない耐震性能
・耐震等級2:耐震等級1の1.25倍の耐震性能。学校や避難所などの公共建物の基準等級
・耐震等級3:耐震等級1の1.5倍の耐震性能。消防署や警察署などの防災拠点の基準等級

〔欧州赤松の梁と米松の小梁に構造用合板をN75釘(150㎜間隔)で打ち付けた床組み(1階から2階床の裏面を撮影)〕

木造一戸建ては、ほとんどが耐震等級2や3相当

以前、建築士から聞いた話ですが、一般に販売されている新築分譲マンションのほとんどが耐震等級1だそうです。耐震等級2や3の鉄筋コンクリートの建物では、柱や梁が太くなり、窓などの開口や間取りが制約されることや建設コストが嵩むことがその理由でした。

一方、新築の木造一戸建ての場合は、ほとんどが耐震等級2や3相当となるそうです。その理由は、軽く、低く、バランスの良い形の建物のほうが圧倒的に耐震性能が高くなるからです。同じ震度でも「東日本大震災」のような長周期地震の海溝型地震は、高層ビルを大きく揺らし、「阪神淡路大震災」のような短周期地震の直下型地震は、木造住宅の方がダメージが大きいなど、相違点はあるものの、将来発生することが予想されている長周期地震の「南海トラフ巨大地震」の備えとして、住宅設計にもデザインだけでなく耐震性能への配慮が必要です。

ともあれ、壁倍率、床倍率や耐震等級は、机上の論でしかありません。剛床工法であれば、梁などに決められた釘とピッチで打ち付けられて本来の耐震性能が備わります。最終的に設計上の耐震性能を左右するのは、施工品質次第でもあるので、それを見抜く力が大切であると考えていますので、日々研究を行ってまいります。

<GarageHouse(賃貸ガレージハウス)は、奈良市、生駒市、木津川市、京田辺市、精華町にまたがる「関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)」エリアで展開する建物内に自動車が保管できるビルトインガレージのある賃貸住宅です。>