前回ブログ「法定耐用年数を味方にした不動産投資とは」では、キャッシュフローと減価償却の関係に注目しました。今回は、木造のアパート・戸建賃貸等に関する法定耐用年数だけでなく、さまざまな耐用年数について考えていきましょう。
耐用年数は、大きく分けて次のとおり2種類あります。
■ 法定耐用年数、経済的耐用年数・・・建物の構造ごとに一律で適用
■ 物理的耐用年数、期待耐用年数・・・個別に建物の状況ごとに決定
法定耐用年数と経済的耐用年数
木造住宅の場合は、税法の法定耐用年数、不動産会社の査定や銀行の担保評価の基礎となる経済的耐用年数が20年程度と短いため、耐久性が無く、不経済であるようなイメージでとらわれていますが、実は勘違いです。木造の法定耐用年数は、もともと35年や30年とされていましたが、ただ税制改正ごとに一貫して短くなり現在の22年となっているだけです。
これらは、課税上の公正・公平の見地や客観的な計算根拠とするため、構造が同じであればどの建物でも一律の年数が適用されています。そのため、固定資産の減価償却費や銀行の住宅ローン審査で用いられる画一的な計算上の年数であり、建物の寿命とは無関係な年数なのです。
固定資産の減価償却費を算出するために税法で定められた計算用の年数
・法定耐用年数:22年
■ 経済的耐用年数
建物を新築したときから資産価値がゼロになるまでの年数
・不動産会社の査定:25年
・銀行の担保価値:20年
しかし、異常気象や大規模な災害が発生せず、定期的に保守・修繕を実施すれば、木造住宅の寿命が50年以上の長期となり得るのも事実です。
なぜなら、ブログ「ビルトインガレージでスタートアップした 米国 IT 企業」で取り上げた、アメリカの住宅流通のうち中古住宅が8割を占め、平均住宅寿命が44年で、築100年の建物も珍しくありません。また、「木造建築の SE 構法と東京オリンピックの新国立競技場」で取り上げた、東京オリンピック会場の「新国立競技場」の屋根や庇も木材が使われており、最近の法改正により木造ビルの建設もスタートしており、決して脆弱でもありません。
やはり、新築信仰と畳・障子・ふすまの純和風住宅から急激に西洋化が進んだ日本の住宅事情と家族構成の変化が極端に短い平均住宅寿命の要因となっているものと考えられ、次の物理的耐用年数や期待耐用年数のとおり、木造の住宅寿命は短くありません。
物理的耐用年数と期待耐用年数
物理的耐用年数は、個々の建物の状況、構造材の劣化の程度を考慮した工学的な判断から年数が決定され、本来の建物の寿命をあらわしています。物理的耐用年数は、建物構造の進化、建築資材の品質・性能の向上などにより、年を追うごとに長くなっています。
それぞれ木造建物の構造や建設資材の違いにより、物理的耐用年数が異なるのは当然ながら、通常は40~50年程度とされていますが、個々の使用状況と改修の頻度により大きく変わるため、100年以上と判定される場合もあります。
個々の建物の状況、構造材の劣化の程度から工学的判断で決定された年数
・通常:40年~50年
・京都の古民家:100年以上
もう一つの期待耐用年数は、国土交通省が中古住宅の流通を促進するため、通常の保守・修繕のもと、実際に使用できる期間をあらわした耐用年数です。
適切なリフォームによる価値向上を公正に評価した年数
・フラット35基準:50年~60年
・劣化対策等級3:75年~90年
・長期優良住宅認定:100年
このように木造の寿命は、鉄骨・鉄筋コンクリート造に比べても、決して劣っていません。最近の木造住宅においては、高断熱・高気密・高耐震が基本的な住宅性能となっており、これまでのイメージを根本的に変える必要があるかもしれません。
また、現在の木造建築で主流となっている SE 構法(木造ラーメン構造)は、強固なべた基礎に耐震プレートを挟んだ土台の上に、柱や梁をSE 金物(耐震専用金物)で緊結し、二重三重の耐震対策が行われています。そのため、新築の木造一戸建ての場合は、ほとんどが耐震等級2や最上位の3相当となっています。
一方、鉄骨・鉄筋コンクリート造のマンションは、ほとんどが耐震等級が1です。木造の耐震等級が優れている理由は、軽く、低く、バランスの良い形の建物のほうが圧倒的に耐震性能が高くなるからです。
耐震等級は、建物の強さを表す指標として、品確法で新たに定められました。
・耐震等級1:阪神淡路大震災相当の地震(100年に1度発生する震度6強~7の地震)でも倒壊しない耐震性能
・耐震等級2:耐震等級1の1.25倍の耐震性能。学校や避難所などの公共建物の基準等級
・耐震等級3:耐震等級1の1.5倍の耐震性能。消防署や警察署などの防災拠点の基準等級
※詳細は「床組みの耐震性能を決定する火打ち梁と剛床工法」でご覧ください。
ところで、当社は冒頭の写真のグループホーム事業も行っていますが、この建物には、土台や柱などの構造材に防蟻・防腐処理した無垢材を使用しており、半永久的に新築時の耐震性能を維持できる仕様となっています。
さらに、内断熱材と 外断熱材を合わせたW断熱工法を採用しており、夏涼しく冬暖かい断熱性能に加え、調湿性能と吸音性能を保持しています。このハイスペックな工法により、高い耐震性能と快適な住空間を実現しており、適切な修繕と補修を行えば50年以上住み続けることができる木造の家です。
つまり、 SE 構法の木造住宅の場合は、需要のある間取りあれば、法定耐用年数の期間が終了しても、適切な保守・修繕を行えば、法定耐用年数の2倍以上の50年程度は、資産価値を維持しながら長期で家賃収入を得ることができるのです。
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