2020年9月2日、GarageHouse(賃貸ガレージハウス)京都南のビルトインガレージ内のべた基礎の上にフレッシュコンクリート(生コン)を打設してクルマを駐車できる土間コンクリートに仕上げる工事が行われました。
コンクリートポンプ車を使って短時間で施工
工場生産の生コンをミキサー車で現場に運び、コンクリートポンプ車を使って施工ポイントまで圧送するので、施工が短時間で済むため、コンクリートの品質が安定し、計算どおりの強度が得られます。ところが、コンクリートポンプ車を使わなかった場合は、ミキサー車から人力で一輪車を使って生コンを運ぶことになりますが、コンクリートの使用量を3㎥(3,000ℓ)とすると、一輪車では、100回往復(30ℓ/回)しなければなりません。手間と時間がかかるだけでなく、しっかりと足場の仮設と養生をしなければ、人(60㎏/人~)と一輪車(30㎏/台~)の走行により、後述する伸縮目地やワイヤーメッシュを傷めかねません。
土間コンクリートのクラック対策
ビルトインガレージの床は、建物全体を支えるべた基礎(厚さ15㎝以上)に土間コンクリート(厚さ10㎝~15㎝)を積み重ねていますので、クルマの荷重に十分耐えられる頑丈な設計となっています。しかし、コンクリートは、強度が高いものの、乾燥や振動によるクラック(亀裂)が発生する弱点を併せ持っています。クラックは、美観を損なうだけでなく、隙間から空気や水が入り込み、鉄筋が酸化して錆ることで、コンクリートの強度を低下させる原因にもなります。
そのため、予防策として、大きなクラックに対しては、ワイヤーメッシュで防ぎ、細かいクラックに対しては、伸縮目地で防止することにしました。また、ビルトインガレージの入り口部分は、クルマのクーラーのドレン水や雨で車が濡れていても大丈夫なように、ガレージ内で排水できるように水勾配(2%=100㎝で2㎝の傾斜)を設け、奥部分は、使い勝手を優先し、ガーデンチェアやテーブル、スチール棚などを置いても傾かないようにほぼ水平に仕上げています。
伸縮目地「エキスパンタイ」とは
まず、伸縮目地である「エキスパンタイ」を土間コンクリートに将来クラックが入りそうな位置に設置しました。これは、緩衝材となる伸縮目地で、コンクリートの乾燥による収縮や熱による膨張を吸収できます。10㎡以下のスパンとなるように伸縮目地で区切ると、ひび割れ防止効果が高いため、車庫の広さが24㎡なので、バランスよく3つに区切りました。伸縮目地の色をグレーにしたので、コンクリート打ちっ放し調の窯業系サイディング壁の色との調和も良く、シンプルでスタイリッシュに仕上がりました。
ワイヤーメッシュとは
次に、ワイヤーメッシュの位置が土間コンクリートの上下中心となる高さになるようにスペーサーブロック(サイコロ)を配置しました。これにより、生コンクリートの打設時に砂利がワイヤーメッシュの下側にバランスよく入り込み、強度を左右するコンクリートのかぶり厚が適切になるので、鉄筋の力がコンクリート全体に伝わり、強度の高い土間コンクリートに仕上がります。
ただし、コンクリートの打設面とワイヤーメッシュの間にスペーサーブロックを挟み込み、かぶり厚を確保しても、施工中に作業員や一輪車が踏みつけることにより、ワイヤーメッシュが下がり、かぶり厚が取れなくなってしまうことがよくあります。そのため、コンクリートポンプ車を使って短時間で効率的に作業すれば、作業員の人的負担も軽く、作業自体に集中できるので、仕上がりも良くなる効果が期待できます。
クリア塗装の利点
続いて、9月5日には、コンクリート床の表面を強靭にするため、透湿塗料の「ダストプルーフOA」を塗布しました。(実は、この塗布作業は、今回初めて採用する塗料の品質を確認するため、私と友人の二人で施工しました)。生コンの打設後3日以内に塗布すれば、保湿養生効果を発揮するため、塗装のための工期短縮とコンクリートの品質強化につながるメリットがあります。この塗料は、コンクリート床や壁に塗布・浸透させることで表面を強化します。無色透明ですが、塗装後に少し濡れ色となり、つやが出るところが気に入っています。毎日の歩行や車の走行で磨かれ、輝きが増してくる経年美化を楽しめるのも選定理由のひとつです。
また、この塗料は、耐摩耗性と防塵性が同時に要求される駐車場に最適です。コンクリートが削れて出る白い粉塵の発生を防止するので、粉塵で悩まされることもありません。一般塗料のように塗装膜で表面を保護するのではなく、化学反応によりコンクリート表面を硬質化するため、剥離の心配がなく劣化も抑制します。土間コンクリートを塗装したことにより、壁のコンクリート調サイディングと質感が調和し、クールな雰囲気に仕上がりました。
・車やフォークリフトの走行にも安心な耐摩耗性です。
・コンクリート特有の白い粉塵の発生を防止します。
・浸透性クリアタイプで剥離の元になる塗膜は形成しません。
・使うほど表面が緻密になり輝きを増します。
・汚れの染み込みを抑制し清掃も容易です。
・コンクリートの打設早期に塗布すれば保湿養生効果があります。
・水性で不燃、ホルムアルデヒドも含まないシックハウス告示対象外です。
販売:アシュフォードジャパン株式会社
商品名:ダストプルーフOA
URL:https://www.ashford.co.jp/oa.html
ビルトインガレージの温熱環境
ところで、ビルトインガレージのフロア部分は、べた基礎から年間を通して18℃程度で一定している地熱を利用できますので、ビルトインガレージ内のクルマの保管に適した室温コントロールができるはずです(私が気温38℃の昼時(8月中旬)に、土間コンクリートのフロア表面を放射温度計で測ったところ、28℃で、触っても少し冷っとしていました)。さらに、ビルトインガレージの外壁内にも吹付け発泡ウレタン断熱が入っていいますので、冬の寒さ、夏の暑さを軽減し、クルマだけでなくバイクや自転車を風雨はもちろんのこと、熱からもしっかり守ってくれます。そのため、ビルトインガレージの室温の変化は、屋外と比べて少なく、冬の早朝にウィンドウガラスが凍ることもなく、真夏の日中でも車内が蒸し暑くなりません。冬場にエンジンを温める暖気運転や夏場にクーラーで車内を急速に冷やすためのアイドリングが不要ですので、無駄な燃料の節約にも貢献してくれます。
ビルトインガレージの湿気対策
また、湿気対策として、インナーガレージの床を支えるべた基礎の底全体に水分を遮断する防湿シートをしっかりと敷設しています。防湿シートの透湿抵抗値は、コンクリートの比ではないため、高い防湿効果が得られるはずです。さらに、24時間自動換気運転の湿度センサ付きDC換気扇を設置しているので、通常は弱運転で稼働しますが、梅雨時など、湿度が高くなると湿度センサが反応して強運転に自動で切り替わるので、強力な風の流れを作って、空気を循環させるので、結露やカビの発生を予防してくれます。
なお、ビルトインガレージの開口部に車内からリモコンで開閉できる電動オーバードア(通常の電動シャッターの約2倍の開閉速度と静粛性を両立)や建物全体を警備するセコム・ホームセキュリティ(警戒登録、解除はスマートホンからクルマに居ながら操作が可能)が設置されますが、詳細は、後日ご紹介させていただきます。
GarageHouse は、人と自動車の共生をテーマとしていますので、人にも自動車にも心地よい住宅環境づくりを目指してまいります。
■ ガレージ
広さ:24㎡(ガレージ内収納を除く)
奥行き:5.5m
幅:3.5m(駐車スペース)
高さ:3.0m
■ 電動オーバードア(安全装置(過負荷検知装置、光電センサ)、リモコン付き)
開口幅:3.0m
開口高:2.4m
開閉速度:約8秒/m
■ セコム火災監視サービス
■ LED 照明
熱線センサ付きダウンライト
ダクトレール式スポットライト(100V電源)
■ DC 自動換気扇(湿度・熱線センサ付き)
■ 電源設備
EVコンセント(200V)
通常コンセント(100V)
■ 温水スロップシンク
<GarageHouse(賃貸ガレージハウス)は、奈良市、生駒市、木津川市、京田辺市、精華町にまたがる「関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)」エリアで展開する建物内に自動車が保管できるビルトインガレージのある賃貸住宅です。>