壁量計算で構造計算を代替
以前、「土台敷設と地震の揺れを軽減する減震ブレーキ装置」で耐震構造に触れましたが、別の角度からもう少しご説明いたします。
実は、一般的な木造2階建ての建物は、建築基準法の特例で構造仕様規定に準拠すれば、構造計算が不要となります。しかし、このことは、構造安全性のチェックが不要という意味ではなく、チェックする必要はあるが、建築確認申請の審査において、資料提出が不要で、簡略化が認められているという意味です。つまり、地震や風圧に対する建物の安全性の検証として、建築士が簡易計算である壁量計算をルールに従って行えば、構造計算を省略して代用できるということです。
壁量計算の基となる耐力壁と壁倍率
壁量計算とは、建物にかかる地震力、風圧力に対して必要な耐力壁の量を集計することです。耐力壁の長さに壁倍率を乗じた値を壁の種類ごとに求め、その総和が必要壁量を超えるように建物を設計します。
壁倍率とは、建築基準法に定められている壁の強さを表す数値で、筋交いを取り付けることによってその壁が通常の壁の何倍の耐力をもつかを表しています。仕様によって倍率が決められており、筋交いと構造用合板を併用した場合は、合計で最大値は5倍となっています。
・けさ掛け筋交い(厚さ4.5㎝×幅9㎝の木材、シングル):倍率2.0倍
・たすき掛け筋交い(厚さ4.5㎝×幅9㎝の木材、ダブル):倍率4.0倍
・構造用合板(厚さ7.5㎜以上):倍率2.5倍
※ GarageHouse(ガレージハウス)は、筋交いの部材を強度と粘りのある米松とし、構造用合板の厚さが規定以上の9.0㎜(倍率2.9倍)です。
壁倍率を確保するには、筋交いなら筋交い金物を仕様どおり施工し、構造用合板なら規定の釘を決められたピッチで留める必要があります。例えば、筋交いが厚さ4.5㎝×幅9㎝の木材と指定されているにも拘わらず、厚さ3㎝×幅9㎝の木材になると、壁倍率が2.0倍から1.5倍とスペックダウンしてしまいます。また、筋交いを固定する SE 金物(耐震専用金物)に留めるネジの種類、本数が設計どおり施工されていなければ、計算上の壁倍率から大きく低下してしまいます。
壁量計算を担保する正確な施工
上述を踏まえ、以下のとおり、GarageHouse(賃貸ガレージハウス)京都南の施主点検を実施しましたが、壁量計算書や図面どおり正確に施工されていました。また、使用部材を確認しましたが、どれも施工実績のある高品質なものばかりで、改めて建設会社の家づくりに対するこだわりと誠実さを再確認することができました。
・筋交いが設計どおりの場所に設置されているか → 図面と現場を照合(シングル、ダブル)
・筋交いの部材の仕様内容 → 米松の無垢(厚さ4.5㎝×幅9㎝)
・筋交い金物の種類 → タナカ製「2倍筋かい〈リベロII〉」
・取筋交い金物の取り付けビスの種類と使用本数 → 専用ビス14本を使用
・構造用合板の種類 → ホクシン製「シロアリガードマン(9㎜)」(※)
・構造用合板を留めている釘の種類とピッチ → 釘はN50で10㎝ピッチ
※ 詳細は、こちらをご覧ください。(出典:ホクシン株式会社「ホームページ」)
⇒ http://www.hokushinmdf.co.jp/structure/characteristic.html
<GarageHouse(賃貸ガレージハウス)は、奈良市、生駒市、木津川市、京田辺市、精華町にまたがる「関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)」エリアで展開する建物内に自動車が保管できるビルトインガレージのある賃貸住宅です。>