法定耐用年数を味方にした不動産投資とは

前回ブログ「キャッシュフローを増加できる建物構造とは」では、キャッシュフローと減価償却の関係に注目しました。今回は、減価償却で重要となる法定耐用年数について考えていきましょう。

法定耐用年数を味方にする

まず復習ですが、減価償却費は、交際費と同じで経費として落とせるものの、実際にお金が外部に出るのではなく、内部留保として手元に残る資金です。そのため、キャッシュフローは、減価償却費が増加すると、その分利益が減少して税金負担が減少するので、手元資金の増加に繋がります。

その減価償却費を計算するポイントとなるのが「法定耐用年数」ですが、建物の構造ごとに税法で一律に年数が決められ、個々の建物の特徴が考慮されていません。

そのため、建設コストが低い木造で鉄骨造のような耐久性の高い建物を建築し、競合の少ない建物で長期にわたり経済的価値が維持されるのであれば、魅力的な収益物件となるはずです。

■ 住宅の法定耐用年数と建築単価

建物の構造

法定耐用年数

償却率(定額法)

建築単価(※)

木造

22年

0.046

20.0万円/㎡

鉄骨造(4mm超)

34年

0.03

28.8万円/㎡

鉄筋コンクリート造

47年

0.022

29.4万円/㎡

鉄骨・鉄筋コンクリート造

47年

0.022

29.9万円/㎡

※ 出典:国土交通省「2023年、建築着工統計調査(用途別、構造別/建築物の数、床面積、工事費予定額)」

木造のメリットを活かした不動産投資

ただし、どんな木造でもよいのではなく、「安全に6%以上の利回りが得られる不動産投資手法とは」や「木造建築の SE 構法と東京オリンピックの新国立競技場」でご紹介したような『 SE 構法(木造ラーメン構造)』のような安全性・耐久性において鉄骨造に比べても決して劣らない建築方法が必須条件となります。

木造は、次表のとおり鉄骨造りと比べて建築費が33%安くなるため、同一面積で建築すればその分家賃を低く設定できます。仮に同一予算なら52%広い建物が建てられます。また、法定耐用年数も短くなる分、減価償却費が増えるので、キャッシュフローが109%良化します。

■ 仮に新築住宅の建築費が1,000万円の場合

建物の構造建築単価建築面積減価償却費節税額
木造20.0万円/㎡50㎡46万円13.8万円
鉄骨・鉄筋コンクリート造29.9万円/㎡33㎡22万円6.6万円
差額(1-2)▲9.9万円/㎡
(33%減)
+17㎡
(52%増)
+24万円
(109%増)
+7.2万円
(109%増)

※法人税は、30%で計算しています。

高品質な建設資材できっちりと施工された木造住宅の耐用年数は、次回のテーマとなる鉄骨造と同等の50年を見込むことができるので、実はコストパフォーマンスが高い物件となります。

次回は、不動産投資するうえで考慮しないといけない、法定耐用年数以外のさまざまな耐用年数について、考えていきましょう。

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