キャッシュフローを有利に増やせる建物とは

前回ブログ「安全に6%以上の利回りが得られる不動産投資手法とは」では、安全に6%以上の利回りが得られる投資手法について注目しました。今回は、収益不動産のなかでも、どのような建物に投資すれば、キャッシュフローを有利に増やせるのかを考えていきましょう。

キャッシュフローを左右する減価償却費

ところで、2008年9月に起きたリーマンショック後に多発した黒字倒産は、計算上の収入に対して支出が合っているものの、お金の入出金サイクルの違いから、資金繰りが悪化して買掛金の支払いや借入金の返済ができずに倒産に至ったケースです。不動産賃貸を事業として長期安定的に継続するには、キャッシュフローを考慮した投資判断が欠かせません。私は、不動産賃貸事業のキャッシュフローで重要になるのが、NOI(Net Operating Income)と減価償却と考えています。

NOI とは、簡単に言えば「手残り」という意味で、収入(賃料)から経費(管理費、固定資産税、保険料など)を控除して残った額です。この NOI を分母に物件価格を分子にして計算された NOI 利回りは、投資判断の指標としてよく利用されています。

一方、減価償却費は、交際費と同じで経費として落とせるものの、実際にお金が外部に出るのではなく、内部留保として手元に残る資金です。そのため、キャッシュフローでは、減価償却費が増加すると、利益が減少して税金負担が減少するので、その分手元資金の増加に繋がります。

今回は、このうち、減価償却について考えていきましょう。

法定耐用年数が短い木造建物

減価償却とは、土地以外の建物の費用を耐用年数に応じて経費として計上し、建物の価値を減少させていく税法上の計算手続のことです。

次の事例のとおり、木造(アパート、戸建賃貸等)の法定耐用年数が22年と、鉄骨・鉄筋コンクリート造(住宅)の47年に比べて短いため、木造の方が税引き後の手残り資金が多くなり、キャッシュフローに余裕が生まれます。

■ 仮に新築住宅の建築費が1,000万円の場合

建物の構造定額法の償却率減価償却費節税額
木造0.04646万円13.8万円
鉄骨・鉄筋コンクリート造0.022222万円6.6万円
差額(1-2)+24万円(109%増)+7.2万円(109%増)

※法人税は、30%で計算しています。

つまり、法定耐用年数が短い木造の収益物件に投資すれば、鉄骨・鉄筋コンクリート造と比べて2倍以上の減価償却費を経費に計上して節税できるため、手残りが増加するということです。

耐用年数経過後は、4年で短期償却

また、木造の中でも築22年を超えた中古住宅は、耐用年数が一律4年適用となり、短期で償却できる節税メリットが得られます。

■木造の中古住宅の耐用年数
1.法定耐用年数を満了している=法定耐用年数x0.2
           例:築25年=22年x0.2=4年(端数切り捨て)
2.法定耐用年数を満了していない=法定耐用年数-経過年数+(経過年数x0.2)
           例:築15年=22年-15年+(15年x0.2)=10年

この法律を味方にして、計画的に木造の収益物件をポートフォリオに組み込めば、上手に節税しながら資産を増やせることに繋がります。

次回は、減価償却費を左右する耐用年数について、もう少し掘り下げて考えていきましょう。

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